朝に起き、夜に眠る。人類が数万年かけて獲得した本来の性質は、たった百年たらずの時間では変わりません。現代の文明は人類に多くの可能性をもたらしましたが、生身の人間には未だに多くの無理を強いています。テクノロジーと人間の本能(Primitive)が共存し、現代人が人間としての本来の姿を取り戻すことができる空間を提案します。
建物は南側の広いリビングと北側の個室で構成され、賑やかな時間と静かな時間を使い分けることができるだけでなく、大きな屋根によっておおらかな空間が生まれます。
大きな屋根の下には、大開口のリビングを中心に、静かな寝室(洋室・和室)、開放的なウェルネスなど、さまざまな種類の居場所が共存します。
敷地周辺の豊かな森、音を立てて燃える火、降り積もる雪、架構の木材、壁に使われる石。都市での生活とは異なる、自然に囲まれた体験を通して豊かな時間を取り戻します。
1979年神奈川県生まれ。建築家。東京大学生産技術研究所准教授。空間構想一級建築士事務所。東京大学卒業、オランダ留学後、博士号取得。「東京大学総合図書館別館」、「望洋楼」、「四国村ミウゼアム」などの建築作品や、「空間にこめられた意思をたどる」(幻冬舎)、「このまちに生きる」(彰国社)などの著作がある。BCS賞、BELCA賞、ロヘリオ・サルモナ・南米建築賞名誉賞、東京建築賞最優秀賞、日本建築学会作品選集新人賞、グッドデザイン未来づくりデザイン賞、など国内外の受賞多数。