南に傾斜するさえぎる物のない眺望、円弧状の平坦な土地。それらを活かすべく、大自然に開いた大らかな建築を考えました。曲面の壁と屋根が創る柔らかな表情は、都会で失った静穏を蘇らせます。屋根は地形とは逆向きの勾配とし、大自然を取り込む大きな開口部を生み出しました。良質な建築はその土地とともにあると考え、地域にある素材を建材として使用しました。石材は長野県の信州志賀石、壁の木材は長野県の杉を用いています。
深く印象的なキャノピーが、この先の南斜面に面した千坪の森の中にある建物へと誘います。すべての居室からさえぎられることのない木々と離山を楽しめます。
プライベートな林へ向かって、高さ4mを超える開口部をもつ40畳のリビング・ダイニング。その中央には、自然石をくり抜いて作った直火の暖炉が優雅な時間を演出します。
開放感のあるサウナとゆったりとしたバスタブは、大きなガラス面を通して自然と一体になれるウェルネスエリアを実現しています。
1982年愛知県生まれ。建築家。2007年早稲田大学理工学術院建築学専攻修了。2007~2016年隈研吾建築都市設計事務所勤務。2016~2017年BJARKE INGELS GROUP勤務(文化庁新進芸術家海外派遣制度)。2017年株式会社カミヤアーキテクツ設立。同社代表・クリエイティブディレクター。おもな作品に、「九段ハウス」(2018)、「葉山加地邸」(2020)、「OHAGI3 FLAGSHIP CAFE」(2022)、「HARIO Satellites」(2023)。おもな受賞に、日本建築学会作品選集、JIA優秀建築選、SDレビュー・SD賞、日本空間デザイン賞・金賞、iF DESIGN AWARD、グッドデザイン賞などがある。